僕は青森県出身なのだが、たまに地元の食べ物が恋しくなることがある。
リンゴとかなら関東にも出荷されているからいつでも食べることができるのだが、郷土料理に近いもの、いわゆる「お袋の味」の類はなかなかそうもいかない。
食べたい物は沢山あるが、特にお気に入りだったのが実家で漬けた梅だ。
市販されている梅とは違うあの味には何か秘密があるに違いないとは思っていたが、まさかあんな事実が隠されているとは僕には想像もできなかった。
地元の梅干しが好きだ
基本的に梅が好きなので、もちろんスーパーとかに売っている「かつお梅」や「はちみつ梅」とかもよく食べるのだが、やっぱり最終的には地元で漬けた梅干しが食べたくなる。
地元の梅は基本的にはしそ漬けなのだけれども、酸っぱさだけじゃなくて独特の甘さもある。
果肉もしっかりしていてサクッとした食感。
ご飯にちょんと乗っけて食べるとこれがまた美味いのだ。
関東に出てきている友達とも「地元の梅が食べたいけれど似た味が見つからない」とよく話をしたものだ。
突然の青森県民カミングアウト
関東に来たばかりの頃は会社の寮に入っていた。
仕事が終わって、寮の夕飯を食べて部屋に戻る。
部屋に戻ってとりあえずテレビを点けると、たまたま「秘密のケンミンshow」という番組が放送されていた。
タレントが出身地別に出演し、その地域ならではの習慣や行事を紹介する番組だ。
たまたま青森県民が紹介されるようだったのでチャンネルを変えずそのまま見てみることにしたのだが、僕はそこで衝撃の事実を知ることとなる。
司会者「青森県民カミングアウト!」
青森県タレント「南部町周辺に住む青森県民は、杏(あんず)の漬物を梅漬けと呼び、ご飯と一緒に食べるんです!」
・・・?
なん・・・だと・・・?
まてまてまて、俺が今まで美味い美味いと食べていたのは梅じゃなくて「杏」だったのか・・・?
謎に不安な気持ちになりながらテレビを見る。
あの色。あの大きさ。あの肉厚感。
テレビ画面に映し出される杏の漬物はまぎれもなく、家で「梅」と呼ばれて食べられている物だった。
もしかして他の青森の友達は杏ってこと知ってたのかな・・・?
知らなかったの自分だけだったら恥ずかしいなと思っていたらケータイの着信が鳴る。
友達「おい・・・俺らが食べてた梅って杏らしいぞ・・・」
良かった。僕だけじゃない。
というかその放送でその事実を知った人も多いくらいだった。(僕の周りは)
ここまで梅として浸透している杏っていったい何なんだろう?
梅と呼ばれる杏、八助(はちすけ)
この杏は八助(はちすけ)といって青森県南部町周辺で多く栽培されている品種らしい。
とても大きく果肉がしっかりしていて、サクッとした噛み応えが特徴。
たしかに大きい・・・。
この杏は甘みよりも酸味が強いため、しそ漬けにしてしまうのが青森県では一般的なのだそう。
ご飯に乗せて食べる
果肉が大きいので刻んでご飯に乗せるのが一般的。
口に入れた瞬間はシソの風味と酸っぱさが先行、そして後味は言われてみれば本物の梅とは違う甘酸っぱい香りが鼻を抜けていく。
果肉はしっかりでサクサクとた食感も楽しい。
この酸味の後にご飯を食べると米の甘みがよくわかる。
ああ、食べてみてわかる。確かにこれは似たような味に出会わないわけだ。
だって杏だったんだもん。
うん、そうだよね杏なんだもんね。
八助はお土産としても買える
今までは梅は自家製で作っているからこその味だと思っていたので知らなかったが、どうやらお土産や通販で買えるらしい。
ああ、これで関東でもあの梅を食べられる・・・!
でかい・・・
このシソもまた美味いんだ。
これからも八助を梅と言い張る
もしあの時テレビで放送されていなければ実家の梅が杏だったなんて知るよしもなかっただろう。
でも杏だろうが梅だろうが、青森での食卓を思い出させてくれる食べ物には違いない。
普通の梅とはちょっと違う、そして地元を思い出させてくれる味として冷蔵庫にストックしておこう。